東野千穂子歌集『緋色のサリー』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:202頁

ISBN978-4-86629-232-8

 

第一歌集!

 

著茶の作品は自らの風土を貴び、家族をいとおしみながら詠いあがられていて、こよなく温かい眼差と機知が感じられる。個性にあふれた表現はつとめて伸びやかで、読みつづほどに短歌の良さをしみじみと感じさせてくれる歌集である。

<林田恒浩 帯文>

 

 

 

 

深川のくらやみの町にB29の焼夷弾降る 三月十日

 

古びたるホールの隅にひそと坐しマザーテレサはミサに祈りぬ

 

(あま)かける風のにほひが好きといふ君に似合ふよサバンナの風

 

父を知らず育ちし夫が父となり祖父(ぢぢ)となりたり 片栗の花

 

八十路にはなに見えくるや判らねど さあロシナンテ海を渡らう