佐藤恵美子歌集『青葉木莵』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:228頁

ISBN978-4-86629-266-3

第三歌集!

 

『青雁』『島梟の森』などの歌集の著者、佐藤恵美子は新アララギの探鳥の歌人として知られる。

 

人生半ば、病を得た彼女は、度々の生命の危機を乗り越えて来た。そのさなか、杖とも頼む夫君を失い悲嘆のどん底にあった。

 

しかし、やがてそこから立ち上がった。

 

彼女を暖かく見守る子や孫たち、庭を訪れる多くの野鳥たちを詠むことを力に再起したのだ。本書は一日一生の思いを伝える一歌人の「生」の記録である。(雁部貞夫)

 

 

『青葉木菟』より5首

 

古(いにしへ)の名残とどむる石畳踏みしめ登るコロンブス生家へ

 

歩幅広く歩む大鷺のたつる波鳰の浮巣を岸に寄せ来る

 

山歩きすでに叶はぬわが身なれ『日本百名山を詠む』を手に心豊けし

 

自然に親しむ心伝へしは祖父にして野鳥愛するわれとなりたり

 

慈悲心鳥の声聞き佇む里山の朝の冷気に活力の湧く

 

機の窓にまもりしかの山デナリ峰われはマッキンリーと呼びて親しむ

 

病みてより探鳥会に行くを得ず庭に尉翁あしたより来る