糸川雅子歌集『ひかりの伽藍』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-277-9

第31回ながらみ書房出版賞受賞!!

 

第七歌集。

 

世界の外側に落ちる水の一滴にも

この世の中の理不尽な事柄に対しても

研ぎすまされた感性も針は分け隔てなく捉える。

びんびんとして、孤高な反響の環を広げるためにのみ。

 

 

 

 

『ひかりの伽藍』より5首

 

花いちもんめ 幼子売られ幼子の声は買われて村はなざかり

 

膝立てて横たわる女体の列島にくまなく電気の血がながれたり

 

空の音群青の音ひたひたとひかりの中をひとは降りくる

 

灯をともしきょうも始まるわが夜の視界の端に置かれて 砥石

 

そのひともこころの器に水を汲みさびしき昼をゆらしておらん