高原桐歌集『春の岬の晴れた日に』

定価:2750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

ISBN978-4-86629-288-5

 

第二歌集!

 

能登の海山の春はことに光に満ち溢れる。水仙の花がどこかで聴き耳をたてている。

淡く、豊かに、時として苛烈に、そしてやさしく。相聞のしらべを底流にしつつ、清新な詩ごころを保つ。産声をあげるはずたった日からの長い歳月。それは熟成というまぼろしの時間。「全てに時がある」といわれうように不可欠な大切な流れであった。

 

 

 

『春の岬の晴れた日に』より五首

 

ふるさとを初めて出ずる少女われを見送りくれし駅の水仙花(すいせん)

 

走り根の根方に寄りぬ花蕊(はなしべ)にあかあかと入日しばしとどまる

 

逢うときは蝶のごとくに語らいぬ空と野原を想い描きて

 

財なすは得手ならざれば慎ましき暮しに大根美しく煮る

 

海遠く渡り来たる強き風夕べいつしか消えてゆきたり