定価:2,750円(税込)
判型:四六判上製カバー装
頁数:210頁
ISBN978-4-86629-302-8
この歌集は本人の知らないところで、人生の締め括りをつけるように、出されることになりました。最後の詰めが出来ないことは残念でしょうが、一方では<そんなことは構わない>と、笑飛ばしているような気もします。
高見澤紀子(布々岐敬子 姉)「あとがき」より
『野に還りゆく』より5首
リストラをされないだけで幸福という幸福論 右肩下がり
桑の木の見分けもつかず桑畑は打ち捨てられて野(や)に還りゆく
ゆるゆると日の落ちてゆくこの夕べ異邦人には寂し過ぎぬか
物置の屋根に山栗ひとつ落つ ゆきたい処へ行けという声
気がかりの消えぬ真昼間雲も無くおのがじしなり山茶花の白