定価:2,530円(税込)
判型:四六判並製カバー装
頁数:172頁
ISBN978-4-86629-325-7
自ら体験した心身の苦しい状況を短歌で表現するということは、その苦悶を追体験することにほかならない。
それは生半可な精神ではできない。
これを表現せずにいられないという強靭な表現意志が必要なのだ。
その表現意志に短歌型式もまた、応えている。
その意味で安斎未紀は、まぎれもなく短歌に選ばれた人である。
短歌に選ばれた人の命がけの表現を受けとめてほしい。
ー藤原龍一郎「解説」よりー
<引用五首>
とめどなく花手折りたり眼底に狂ひ回れる観覧車かな
病棟がま水に沈む午前零時 我が鼻犬のごとくつめたし
呪ふこと傷抉ることわらふこと 雨一滴の紅かれと思ふ
掌に象よ、麒麟よ、獅子よ歩め、ものみな小さく見ゆる星月夜
眠れぬを日常として暗がりに水色の蛾の舞ひ狂ふなり