加古陽歌集『夜明けのニュースデスク』

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

定価:2,750円(税込)

ISBN978-4-86629-344

 

人と人を結ぶのは言葉

             帯文よりー 佐佐木幸綱

 

 

<栞付き>

 

歌に込められた”戦禍の記憶”   大石芳野

硬派の抒情性         栗木京子

事実から歌へ         小池昌代

 

 

<引用10首>

星空を朝日が殺す一点の曇りなき日を始めるために

 

白紙からつくりはじめる新聞は日々完全を追う不完全

 

蜂蜜が頤(おとがい)を垂る逝く日までニュースにまみれ生きてゆくのか

 

湧き上がる。真夏の空の青さから積乱雲の白とめどなく

 

近づいてゆけばゆくほど雲離れ遠い水平線だ、読者は

 

ドローンの眼で見るドリップ珈琲の乾きゆく核燃料プール

 

魚跳ねて傷む水面を縫う針の迅き運びを重力という

 

感情は液体としてここにあり湧く、込み上げる、浸る、溺れる

 

薄曇に白くけぶれる名残りの月 きょう本当を伝えられたか

 

共同通信の修正電文流れてきてひと文字直す「る」から「た」へと