定価:2,750円(税込)
判型:四六判上製カバー装
頁数:198ページ
ISBN978-4-86629-338-7
近藤さんの歌には憧憬の対象に出会って精神を開放してゆく傾向がみられる。これは近藤さんに限らず歌人が持つ感受性なのであるが、対象に入り込む素直さとやさしさが近藤さんの歌の持ち味であるといえるだろう。
ーーーーーーーー梅内美華子「解説」より
<引用五首>
海原の涯よりうまるる朝光が伊根の舟屋をこの世に戻す
耐洗耐光性の色に染める吾のひと生は布との格闘
みち一杯に矢絣模様を描きつつゆつくりすすむ母の田植機
まだ生きるもつと生きるを口にして光の雫をじつと見つむる
林檎の香残る空箱に今朝摘みし蕗の薹詰め旅つづけゆく