屋良健一郎歌集『KOZA』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86629-294-6

 

待望の第一歌集!

 

KOZAの街に上がる暴徒の焔見ゆ復帰前後を語る目の奥

 

モノクロの写真の街の白き火よ KOZAの暴力美(は)しかりにけん

 

スカートの脚組み替えて、ああ、君も米兵に抱かれたことを言う

 

 

『KOZA』の語源・意味は諸説あって、正解がない、というのが定説である。

歌集のタイトルに『KOZA』を選んだのは、分からなさこそが沖縄の核心だという作者の思いがあるからにちがいない。父の沖縄、祖父の沖縄、さらには尚文子の沖縄、時代の違うそれぞれの沖縄の手前に、現在を生きる屋良健一郎の沖縄がある。本歌集は、その沖縄を多様な角度で歌い切った作者渾身の第一歌集である。

                        帯文 佐佐木幸綱

 

 

 

<引用5首>

 

放課後の外階段の告白をぬんでぃがぬんでぃが米軍機ゆく

 

君には君の香りがあると分かる距離春雨の降る夜の公園

 

沖縄の心を持てと諭されて半分開ける助手席の窓

 

君の猫が僕らの猫になることの鼻先にねこじゃらしを揺らす

 

血や怒り悲しみでもなくひとを抱く色として咲けハイビスカスよ